惣社水分神社(そうしゃみくまりじんじゃ)の正式な呼称は、芳野坐式内惣社水分神社(ほうのにますしきないそうしゃみくまりじんじゃ)。大和朝時代の飛鳥を中心に、宇陀地方一帯の水の守り神としてここ芳野の上流、上芳野にこの一郷の水分神社の総社として創祀されたものです。水分信仰は、農業とかかわりを持っていて、その伝承は、この地方の農耕信仰の歴史を知る上でも重要です。
芳野川は菟田野地区を西北に流れる河川で淀川の源流にあたり、往古から一帯の農地を潤してきたに違いありません。水の神として崇敬をあつめた惣社水分神社には、今は農民のみならず、水に関わる業の人たちの参詣がたえません。
本殿は、大正2年、隣接する八幡宮を合祀したものです。
鳳輦神輿(ほうれんみこし)は、鳳凰をいただいた木造金銅装添塗で鎌倉時代後期の様式です。南北朝時代の作と推定されており重要文化財に指定されています。